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「私に気持ちがないならこんなことしないでよ…っ…勘違いさせないで…」
弱々しく俺の胸を押してくる美那を更に強く抱き締める。
勘違いすればいい。
「もう1回………好きって言ってよ、美那」
腕の中で震える美那は、ゆっくり俺を見上げながら口を開いた。
「……好き。姿雪が好き…!大好きだよ…?」
「…うん。知ってる」
「好きすぎて…ムカつくっ…」
“バカ”と何度も言いながらも俺の腰に巻き付く。
泣きながら言ってることと、やってることがすごく矛盾してる。
「美那……もう少しだけ」
「…え……?」
「もう少しだけ俺に考える時間ちょうだい。美那の気持ちに中途半端な答え出したくない」
視線を合わせながら真顔で言うと、美那は花が咲くようにフワッと笑った。
「しょうがないから待っててあげる!」
「ぷっ……美那らしいな」
夕焼けが俺たちを照らす中、2人で見つめ合いながら曖昧な関係の俺と美那は触れるだけのキスをした。
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