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「なんで黒夢が……」
「あ、歩希さんのお姉さんが…」
私は先ほどの手紙を歩希さんに手渡すと、手紙に目を通した歩希さんは眉間にシワを寄せる。
「……希凪の野郎」
希凪(キナ)?
「黒夢。母さんの病院、どこかわかるか?」
歩希さんは怒りを抑えた笑顔で黒夢くんの前にしゃがんだ。
「知ってるよ~。んっとね……お家の近くのとこにあったよ!」
それを聞いた歩希さんは私をいきなり肩に担いだ。
「へっ…?ぁ、ちょっ…」
足をバタバタして抵抗するが、歩希さんは開いた片手で黒夢を抱っこして歩きだした。
なんて腕力……
なんて感心してる内に車に押し込まれる。
「ど、どこに行くんですか…?」
黒夢くんを膝に乗せて恐る恐る問い掛けると、低い声で一言…
「病院」
と返された。
あ……お姉さんのお見舞いかな?
「ねぇ、お姉ちゃん」
黒夢くんが上目遣いで私を見つめて私に抱きついてきた。
「ん?なぁに?」
首を軽く傾げると、黒夢くんはニコッと笑って私の口にキスを落とす。
「んっ…!?」
「お姉ちゃん、かわいいから黒夢のお嫁さんにしてあげる♪」
そんなかわいい黒夢くんと、運転席から出る黒いオーラに戸惑いながら、とりあえず歩希さんをフォローしようと試みる。
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