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「あの……歩希さん?今のは子供のイタズラみたいなもので…」
「…」
私の声も届かないのか、歩希さんは近くの路地裏に車を停車させた。
「……黒夢」
「なぁに?歩希お兄ちゃん」
黒夢くんは歩希さんを挑発するかのように私に再び抱きつく。
それを見た歩希さんは私の腕を引っ張った。
「黒夢、よく見てろ。お前のキスなんかたかがフレンチなんだよ」
そう言いながら私の唇に噛み付くようにキスをする。
「んっ!歩希さん…っ」
何度も角度を変えては、ついばむように繰り返されるキスに息が苦しくなって、歩希さんの背中を軽く叩く。
唇が離れていき、思い切り酸素を求めて口を開けると、それを待っていたかのように唇を重ねられた。
だけど、今度は違う。
口内に柔らかくてヌルッとしたモノが入ってきて、私の舌に絡み付く。
入ってきたのが歩希さんの舌だと気付いたのはキスが終わったあとだった。
「はぁ…っ歩希さん!苦しいじゃないですか!」
顔を赤くさせて睨む私を、歩希さんはフワリと笑いながら頭を撫でてる。
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