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「希凪。出産日いつ?」
お姉さんは手帳を取り出して出産日を確認をする。
「んー…そろそろなんだよねぇ。陣痛来るし…」
「…そっか。また明日来るわ」
歩希さんの言葉に、黒夢くんは泣きそうな顔をして歩希さんの服の裾をつかんだ。
「もう帰るの…?」
歩希さんは困ったように眉毛を下げる。
「まだ居たいか?」
「…うん」
歩希さんとお姉さんは軽くアイコンタクトをして頷き合った。
「じゃ、夕方になったら迎えに来てやる」
黒夢くんは花が咲くようにパッと笑顔を咲かせた。
「うんっ!歩希お兄ちゃん大好き!」
そんな光景を見つめる私とお姉さんは笑みを零す。
「じゃあな、希凪。何かあったら連絡しろよ」
「うん、さんきゅー♪」
手を振りながら笑顔を向けてくれるお姉さんに、私は軽く会釈をして病室を出る。
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