宝龍

⑧

皆で家に帰ってきた。

『『ただいま』』

「綾～。みぃ～。お～か～え～り～。」

…うわ！…この声は…

『あ～魁さん。綾抱きしめてた方が言いですよ？』

朔はそう言いながら、みぃを抱き寄せながら声をかけた。

『…２階に逃げようかな…』

『…綾…諦めろ。』

瑠榎にぃも妃那ねぇを引き寄せた。

仕方なく、魁に抱き着いたままリビングに入ると、さっきの声の主が走ってきた。

『あ～や～♪』

抱き着かれないように魁の後ろに隠れた…のに回り込んで抱きしめられた。

『裕くん！離して！！』

声の主は裕士（ゆうじ）くん。

あきくんの弟だった。

考えてると、グイッと引っ張られた。

『裕士。話せ。沙綾は俺んだ。』

魁が抱き寄せてくれた。

「魁！？なんでいんの？」

『沙綾は俺のだから。』

「は？…俺の綾が…」

落ち込んだ裕くんを無視して歩き出した。

横目で裕くんを見ていれば、みぃや妃那ねぇに抱き着こうかして避けられてた。

『沙綾？裕士いつも抱き着くのか？』

『…うん。迷惑な事にね。』

…魁に言うと何か考え始めた。

「綾。おかえり。」

…あっ！あきくんだ。

『あきくん！ただいまぁ。』

魁の腕を抜け出して抱き着いた。

『…沙綾…離れろ。』

魁がブスっとしながら言ってきたから仕方なくあきくんから離れた。

「なんだ。魁いたのか。」

『…うるせぇ』

…あれ？あきくん魁居たの見てたよね？

何か変な会話を始めた二人だった。