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龍我は朔に走りよる。 『朔矢!』 私の声に朔は振り向き、龍我を見た。 …だめ…間に合わない…。 そう思いながら走っていると、いきなり龍我は横に蹴り飛ばされた。 「…かはっ」 「お前の考えなんてわかるんだよ。これ以上…仲間は傷つかせない。」 龍我を蹴り飛ばした人は隼人だった。 …よかった…。 私は安心して座りこんだ。 龍我は隼人にもう一度蹴り飛ばされ、気を失った。 『隼人。助かった。』 「いや。気にするな」 朔矢が隼人にお礼を言っていた。 『朔矢!』 みぃが泣きながら走ってきた。 朔矢は器用に片手で抱き留めた。 『おっと。魅弥…終わったよ。もぅ泣くな。』 『でも…朔矢…血が…』 『少し切れただけだ。大丈夫だ。』 泣きじゃくる魅弥を宥めている朔矢を見つめていると、車とバイクが入ってきた。 「よぅ!こっちも終わったか?」 大河が言ってくると、瑠榎にぃ達もバイクから降りた。 …あ…兄様達に謝らないと… そう思い、瑠榎にぃ達に近づいた。 『瑠榎兄様…瑠依兄様…』 『『綾!?何で外にいるんだ?』』 声をかければ驚く二人。 『ごめんなさい…姉様達が…私のせいで…』 私が謝っていると妃那ねぇの声が聞こえた。 『綾のせいじゃないわ。謝らないの。』 『そうよ。私達は妹を守っただけよ?』 『『妃那?紅葉?』』 妃那ねぇ達の声に瑠榎にぃ達が反応した。 『でも…私が出て来なければ…姉様達は…』 ポロポロ泣きながら言った。 『綾?気にしないの。少し怪我しただけよ?私達は白虎だもん。怪我なんてなれてるから』 そう言われたけど涙が止まらず、泣いていると大好きな人の声が聞こえた。
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