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そして…とうとう私の番になった。 …諒くんが変なの置いてません様に…。 祈りながらスタートラインにたつ。 パンって音と共に走り出し、紙を適当に二枚引いた。 そこには“宝龍 現総長”と“朱雀、青龍 総長と彼女”と書いてあった。 私は一番最後だからだろうけど…たぶん瑠榎にぃ達にもキスさせる気なんだろうと思いながら、とりあえず、瑠榎にぃ達の所に行った。 『瑠榎にぃ、瑠依にぃ!』 呼ばれた二人は返事をしてくれたので紙を見せた。 『『綾。どうした?』』 『これ…。』 二人はニヤッと笑い妃那ねぇ達の手を握りながら言った。 『『わかった。後一枚は何だった?』』 『ん?魁だよ?』 『魁連れて走れ。俺達もお前に合わせてここから走るよ。』 瑠依にぃに言われ、魁の所に言った。 『魁!』 寝転がりながら見ていた魁を呼んだ。 『どうした?』 『これ…』 魁に聞かれ、紙を見せると“わかった”と言いながら立ち上がり、お姫様抱っこされた。 『魁!?恥ずかしいよ…』 『あ?諒さんの命令だ。』 そう言いながらはしりだした。 …やっぱり魁にも言ってたか…。 半ば呆れながら、走る魁の腕に抱かれたまま、横を見ると瑠榎にぃ達も妃那ねぇ達をお姫様抱っこしてゴールした。 「あ~。二枚でも綾には早かったなぁ。お前らも見せ付けてやれば?」 諒くんの冷やかした声に三人同時に答えた。 『『『当然!』』』 妃那ねぇ、紅葉ねぇ、私は慌てて止めようとしたけど… 『『『ちょ…まっ…』』』 言葉を最後まで言えずに唇が重なった。 真っ赤になる私達を抱いたまま三人は別々に散らばっていく。 『か…魁!?どこ行くの?』 『ん?テント。何?まだして欲しい?』 『えっ!!ちが…』 違うと言うと魁は悪戯そうな笑みを浮かべながら耳元で言った。 『クスクス。帰ったら朝まで抱いてやるよ。』 『えっ!?』 『こんな可愛い沙綾を皆に見せたんだ。我慢できない。』 そんな風に言われたら何も言えなくなって、魁にしがみついた。 借り物競争が午前中最後の競技だった為、すぐに昼休みに入った。
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