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魁に引っ張られながらベンチに着いた。
ベンチ私を座らせて、魁が私に聞いてきた。
『沙綾?どうした?』
さっきの女の人達の事を言いたくなかったから
『…なんでも…ない…』
『じゃあ…何で泣きそうになってる?トイレで何かあったか?』
優しい声で心配そうに聞いてきたから、瞳に溜まった涙がこぼれそうで下を向いたまま首を振った。
『沙綾。何があったか言え。何で泣いてんだ?』
それでも言いたくなかったから首をさらに振った。
『沙綾。こっち向け。』
私の顎を掴んで魁と目を合わせられた。
ウルウルした目で魁を見つめた。
『言え。言わなきゃキスするぞ?』
…しかたない…。こんなとこでキスされるのは恥ずかしいから…言うしかないか…。
『…さっき…トイレから出たら…魁…女の人に囲まれてた…。』
『…ああ。で?』
『…綺麗な人…いっぱいいたから…魁が行っちゃいそうで…』
話していたら涙がこぼれていた。
『…私…背も低いから…あの人達…妹って言ってたし…』
『なんだ。ヤキモチか。何かあったのかと思った。』
『…グス…だって…』
『沙綾?あそこにはブスしかいなかったぞ?それに…沙綾以外と一緒にいるつもりないからな。』
『…魁…。私が…彼女でいいの…?』
泣きながら魁に聞いてみたら、急に抱き寄せられた。
『当たり前。沙綾しかいらない。昨日も言ったろ?黙って俺に護られてろ。』
魁の言葉が嬉しくて、頷いてさらに泣いた。
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