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呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。
「よう。」
「せん、せ、い?」
「もちろん。」
早朝五時。おはようございます。
「先生…。」
「おう。」
泥棒のごとく、
ゆっくりと鍵を開け、
音を経てないよう入りこんだ辺銀宅は、
まだ太陽が登場していないせいか真っ暗だった。
ん?
ってことは私は太陽より早く起床したってことか。
気分もいいはずだ。
「…おはようございます。」
「お、おはよう。」
てっきり文句を言われると思ったが…
挨拶とは辺銀らしい。
「で、何かようですか?」
「もちろん朝食を。」
薄暗い中、辺銀は布団から手を伸ばすとすぐに近くに置いてあった
例のビン底メガネを取り、再び布団の中に全身をしまう。
お前は亀か?
「朝食…今はまだ、夜明け前…ですよ。」
「そうだな。」
「いつも先生が来るのは9時ごろですよね…」
「正解。」
ばっ。
と布団がめくられその中から、
ジャージ姿の辺銀君が勢いよく現れた。
ジャージの辺銀とは新鮮である。
「?」
心なしか目が厳しい。
すたすたすた。
辺銀は部屋の入り口に立っている
私のところまでやってきた。
と思ったら、鼻先がくっつく位近くに、辺銀が…!
「何考えてるんですか?」
こちらは視線を彷徨わせる。
え?
え?
ごん。
鈍い音が、聞こえた。
「僕が起きるまで反省してください。」
額に鈍痛。
え……頭突き?
辺銀は、私のいる足元をビシっと指をさして、反省。と、私に命じて
自らの寝床にすたすた帰って行った。
私に何を反省しろと??
気づくと再び辺銀の寝息が聞こえてきていた。
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