1,六篇大魔王

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呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。 「よう。」 「せん、せ、い?」 「もちろん。」 早朝五時。おはようございます。 「先生…。」 「おう。」 泥棒のごとく、 ゆっくりと鍵を開け、 音を経てないよう入りこんだ辺銀宅は、 まだ太陽が登場していないせいか真っ暗だった。 ん? ってことは私は太陽より早く起床したってことか。 気分もいいはずだ。 「…おはようございます。」 「お、おはよう。」 てっきり文句を言われると思ったが… 挨拶とは辺銀らしい。 「で、何かようですか?」 「もちろん朝食を。」 薄暗い中、辺銀は布団から手を伸ばすとすぐに近くに置いてあった 例のビン底メガネを取り、再び布団の中に全身をしまう。 お前は亀か? 「朝食…今はまだ、夜明け前…ですよ。」 「そうだな。」 「いつも先生が来るのは9時ごろですよね…」 「正解。」 ばっ。 と布団がめくられその中から、 ジャージ姿の辺銀君が勢いよく現れた。 ジャージの辺銀とは新鮮である。 「?」 心なしか目が厳しい。 すたすたすた。 辺銀は部屋の入り口に立っている 私のところまでやってきた。 と思ったら、鼻先がくっつく位近くに、辺銀が…! 「何考えてるんですか?」 こちらは視線を彷徨わせる。 え? え? ごん。 鈍い音が、聞こえた。 「僕が起きるまで反省してください。」 額に鈍痛。 え……頭突き? 辺銀は、私のいる足元をビシっと指をさして、反省。と、私に命じて 自らの寝床にすたすた帰って行った。 私に何を反省しろと?? 気づくと再び辺銀の寝息が聞こえてきていた。
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