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「いらっしゃいませ~」レンガの煙突が店の真ん中にあるレトロな喫茶店。「おはよーさん」ガラスの扉が開いたと同時にサングラスに全身黒色で決めた五十代なかばの女性が颯爽と入ってくる。これもいつもの同じ光景だ。彼女はこの街では名が通るそのスジの姐さんだ。姐さんはいつもの席に座ると同時に「かおりちゃん、いつもの頼むわ~」。「はい」と元気よく返事をする私はこの店でアルバイトをする竹内かおり。このレトロな喫茶店でアルバイトをして四年になる26歳。姐さんのいつものという注文はアメリカンだ。アメリカンといっても、彼女の好みは薄過ぎず、濃い過ぎずで結構細かい。姐さんは喫茶店のオーナーママさんの古くからの友達で、いつも昼下がりにアメリカンを飲みにこの店「F」に来るのが日課だ。しばらくして「かおりちゃん、もう一杯おかわりちょうだいなぁ~」と姐さんは言った。「ネエさん、すぐ持っていきます」私もいつもの笑顔で応え、追加のアメリカンを姐さんの席まで持って行った。「ありがとう!たまには座りいな」と目でむかいの空いた席をうながした。今まで挨拶やたわいのない会話しかしたことのない私は戸惑った。150cm
余るくらいの小さな体なのに何倍にも大きく見えて貫禄は凄い。心臓がバクバクだ。
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