はじまり

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ぼくは1人で暮らしていた。 物心がついたときから、ここにはぼくしかいなかったから、 ぼく以外の、ぼくと同じ生きものを、 見たことがなかった。 ぼくと同じ生きものだったら、 多分、鏡に映ったぼくみたいな身体で、 ぼくと同じ言葉で話すんだろう。 でもぼくは、まだそんな生きものを見たことがないけれど。 動くものも見たことがなかった。 ぼくは、地面から生えてるものを採って食べていたから。 それがぼくにとって、当たり前の生活だったんだ。 …あの日までは。
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