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「お茶、どうぞぉ~」
彼女はこの図書館の司書兼管理人のカモミールさん、って言った。
カモミールさんに司書室に案内してもらって、今お茶をいただいてる。
「こっちの図書館に一般の方が来られるのって久しぶりですぅ。大抵の方は街中の方に行かれますからぁ」
ふわふわのお下げに丸眼鏡、にこにこ笑うカモミールさん。長耳族の垂れ耳ってちょっと可愛くってズルイ、と思う
「こっちは退魔師や魔法使い専門ですからぁ」
こんなほわほわした人だけど、長耳族って事はうさぎ…魔法に長けた…魔法使いってことかなぁ?
「あのぉ…魔法専門図書館の司書ですから、魔法が使えなかったら勤まりませんよぉ」
ぷぴっ!
「ひゃあ…大丈夫ですかぁ?」
お、お茶、吹いちゃった…じゃなくて!
え、何!読心術!
「違いますよぉ。さっきからずぅっと、声に出てますよぉ」
「はぅっ…まぢで?」
「まぢですぅ」
は、恥ずかしい…
あ、あたし、独り言の癖があるのよね…直さなきゃ
「まあ、それは置いときましてぇ」
放置ですか!良いけど
「私の記憶では、『恋を叶えてくれる魔女の恋文』なんてもの、ありませんけどぉ?」
「無いの!うわぁ…頼みの綱だったんだけどなぁ」
がっかり…お茶、飲んだら帰ろう…
「あのぉ、もしよろしければ、お話聞かせて貰えますぅ?そのぉ…恋を叶えてくれる魔女、じゃないですけどぉ、お話聞くぐらいは出来ますからぁ」
カモミールさんのほわほわした笑顔に、なんとなくほっ、としたあたしは話すことにした。
「…聞いてもらえますか?」
カモミールさんは、やっぱり、ほわほわ笑ってお茶のお代わりを淹れてくれた。
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