それは必然だったのか?

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俺は粘り強くアイツと接し続けた。 無理矢理話しかけ、無視されても強引に遊びに加わり、時には力づくで遊びの輪の中に入れた。 最初は少し拒絶する素振りを見せていたんだが、次第にそれも無くなり、気付けば自然と輪の中にいるようになった。 特に俺とは、後に家がかなり近いこともわかり、いつも一緒にいた記憶がある。 あれは俺の強引さが引き起こした奇跡だったのではないかと今では思う。 それだけ当時のアイツの心の壁は堅固だった。 しかし、いつの頃からか段々と性格が変わり始め、幼稚園の最終学年になるころには、明るく活発で、いつも皆の中心にいるような、昔とは180度違う性格になっていたな。 その頃には俺とアイツの立場も逆転し、俺の方がアイツの取り巻きみたいになっていたしな…。 そこからはアイツと俺の差は開く一方だった。 小学校に入るとアイツは持ち前の運動神経と勤勉さを発揮し始め、瞬く間に学年トップの座に君臨し、そのずば抜けた容姿と明るい性格で直ぐ様学校の人気者にかけ上がっていった。 中学に入ってもそれは衰えることはなく、部活での活躍や生徒会長への就任によって加速していくことになる。 そんな幼なじみを尻目に、俺は冴えない日々を過ごしていた。 片や学園のアイドル。 片や冴えないB級生徒。 もしかしたら俺の思い過ごしなのかもしれない。 しかし、俺にはアイツが生きる場所すら違う、決して混じり合わない遠い存在に思えた。 しかし、アイツが俺の傍を離れることはなく、気付けば俺は、アイツの腰巾着という立場を確立しちまった。 そんな俺に向けられる、周りの嘲笑や、皮肉、そして冷たい目。 周りがはっきり言ったわけではないし、俺の被害妄想かもしれない。 だが、俺にはそう思えて仕方がないのだ!! だから中学3年の秋、俺は一大決心をした。 アイツとの腐れ縁を断ち切るために…!
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