当たり

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 高2になった。  今日は朝から雨が降ると天気予報士がテレビで話していたから、傘を持って家を出た。でも、空は少し雲があるだけで青々としている。  今日の天気予報は外れるな、と、たくさんの桜の蕾と、咲き始めた小さな花を見ながら心の中で笑った。 「おはよう。」  新学期、新しいクラスの教室に入ると、友達に挨拶された。だから「おはよう。」と返す。  私が友達と呼べる人は、少ない方だと思う。  学校に行くと、なぜか引っ込み思案になってしまうのだ。だからこうして声をかけてくれる友達がいるだけでうれしくて、心がほかほかする。  見慣れない人たちに戸惑いながら、自分の席を探す。  ざわめきに溢れる教室。  黒板に張り出された貼り紙を見たら、窓際の後ろから2番目に自分の名前、松木絵菜(まつきえな)があった。振り返って見ると、知らない男子が座っていて、私の隣の席の男子と談笑している。これでは席につけないな、と思いながらその男子に話しかけようと近づいたその時だった。 「ちょっと皆さーん! 席についてくーださーい」  突然のその大声に驚く。クラスの全員が声がした方……教卓を見つめた。  大声を出したのは、前も同じクラスだったムードメーカーの浅香則武(あさかのりたけ)だった。  クラス中が文句を言いながらも自席へと戻って行く。私もつられて、空いた自分の席へと座った。  他の男子が「なんだよー!」と呆れて言うと、浅香くんの顔が笑顔になる。  これから一体…、何が始まるんだろう。
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