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家の近くにはコンビニエンスストアがある。ガラス越しに見える赤い髪の定員が多少鼻についたが、目を逸らして店に入った。何味かはわからないが、おにぎり三つをレジへ運ぶと、赤髪の男の視線を感じた。
「何かあったんすか?」
真二の身なりを見回しながら、一つずつバーコードを読み取っていく。はたから見たらホームレスみたいかもしれない。男の背にある電子レンジに写った姿を見ながら、真二はそう思った。
「別に……」
「あっそうすか」
つまらなそうな顔をして定員は気怠そうに代金を言った。
早くここから去りたかった。そそくさと千円札を手渡し、無造作に渡された小銭をポケットに放り込み、袋を奪うようにして立ち去った。
自動ドアの音に紛れて舌打ちが聞こえたような気がする。真二は背中で威嚇しながら顔をゆがめていた。
「死ね」
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