仕事

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   心からそそられる。  依頼するだけじゃ物足りない。おれはここで復讐してやる。  気持ちがすこぶる高まってきて、身体が疼く。真二はそのページを破りとって家を飛び出した。  心からそそられる。  そのまま事務所へ走った。普通、まず連絡を入れるべきなのは真二もわかっていたが、あの電話を使おうとは思わなかった。与えられた餌を貪るようで気がひける。  どうしてもこれがやりたかった。直接乗り込んだほうが熱意が伝わるかもしれない。古いが故にたくましい考えだ。  ちぎったページには簡略な地図が載せてあった。住所は破けていてわからない。もう少しで地図を失いそうな所まで破けていた。  本当に簡単にしか書いてない。有名な大通りの脇道とだけわかって、何本目の道を曲がればいいかわからなかった。ただ真二は呼ばれるように走った。  自分の持久力を疑う。おれはこんなに走れただろうか。かれこれ1時間は経った気がする。辺りはすっかり日が落ちていた。夜の冷たい空気が口に吸い込まれ、熱気混じりに飛び出した。  
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