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『……っん……。』
深い眠りから浅い眠りへと移ったとき、何故か唇に違和感を感じた。
温かくて、柔らかくて、フニフニとしている、唇…みたいな。
く、唇?!
『っんぅ!…っん…ふ…ぁ……』
「悠斗…」
『…ぁ……ふ……』
完璧に目を覚まし、目を開けると目の前には近すぎるくらいに近い愁栖の顔。
確かに僕のに触れているのは愁栖の唇だった。
しかもなんか舌が入ってる、よね?
『っぁ……ふ……んぅ…』
長い長いキスのあと、閉じていた瞳を開け、まだ間近にあるその綺麗で優しさを滲まさせている顔を見つめた。
『…しゅう、せい…?』
様々な意味を含めた疑問形。
何故、キスをしたのかということと、何故、僕の上に乗っかっているのか、そして、そうする意味は、何か。
「…はると……」
低く甘い声。
全身を奮い立たせるような、そんな声。
そのまま僕に倒れ込み、僕の背中へと腕を回す。
「……はる……」
『…っぁ……』
甘く耳元で囁かれれば、耳が弱い僕はその声に反応してしまう。
「…………。」
愁栖の息遣いがはっきりと聞こえる。
息が耳にかかる度にビクッと身体が震える。
『…っん…』
どうしよう、心臓が、五月蝿い。
さっきからずっと気にしないようにしていた。けれど、バクバクとする心臓は無視することなんか出来なくて、きっと、これだけくっついている愁栖にはまるわかりだろう。
「…心臓、凄い…」
『…っぅあ…!』
熱い。耳が。
愁栖が話せば耳に息がかかり、更にまた心臓は高鳴る。
しかも、やはり、分かってしまっていた。
『しゅ…せ…!どい、て…っ!』
「…嫌だ。」
『…っぅ……!』
本当に、どいて欲しい。
耳が熱すぎて、熱すぎて。
心臓もドキドキバクバクで、頭がついていかなくて。
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