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「………はる……すき……」
『…ぅ……え…?』
すき……?今、すきって、言った…?
いや、気のせい、だよね。そんなわけないよな。だって愁栖には彼女いるし。そうだよな。
「…好き…だ、はる…。」
『…っ…う、そだ…。』
「…嘘じゃない。俺は、悠斗が好き。」
『…っ……!』
「悠斗は?……俺が寝てたときのあれ、夢じゃないよね?」
『…しゅ、うせい…っ』
「…なあ悠斗、キス、してくれたよな?好きって、言ってくれたよな?」
『…っぁ…や…ちが……っ』
「……何で?何が、違うんだ?」
『…っだ、て……愁栖、には、彼女、いるし…!』
「今はそんなの、関係ない。俺が聞いてるのは、悠斗が今、俺を好きかどうか。」
『…っ……そ…な……。』
好きだって、言いたい。
でも、愁栖が好きって言った事が信じられないのと、驚いたのと、恥ずかしいのと、全部ごちゃまぜで。
「……悠斗、何も、考えんな。全部抜きにして、純粋に答えてくれればいいから。
世間も彼女も未来も、何も無しにして、お前が今、俺ををどう思っているか、聞かせてほしい。」
何も、考えないで…?
彼女のことも?
僕の、素直な、気持ち…。
『…っ…す…き……!好き、だよ、愁栖が…っ!ずっと、小さいときから、ずっと…!愁栖に彼女が出来ても、誰かとキスをしたりしていても、諦める事なんか、出来なかったくらい、好き。もう、止められなくて、止まらなくて、ずっと苦しくて、悲しくてっ、虚しくてっ…!
…っ…好き、だよ!好き、好き…伝えても、伝えきれないくらい、好きだよ!
でも僕なんか、運動出来ないし、友達も少ないし、人見知りするし、明るくないし、女の子みたいにふっくらしてないし、可愛らしくもないし、愁栖みたいにかっこよくも、人気もないし、童顔だし、中学生に間違われるし、たまに女の子に間違われるし、ネガティブだし、今だってもう言ってること意味わかんないし、素直じゃないし、卑怯だし、臆病だし、ヘタレだし、「はると。」…っぁ…!』
自分をけなしだしたら止まらなくなってしまった僕を、愁栖の甘く低い囁き声が止めた。
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