君が好き

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  『しゅーせー、起きて?ご飯だよっ!』 「…ん……悠斗…。」 『はーやーくー!』 「ねむぃ……」 『もうっ、置いてくからね! ちゃんと来るんだよっ!』 中々起きようとしない愁栖。 起こすの、かなり大変なんだよね。 部屋をでようと、立ち上がって愁栖に背中を向ける。 『っうえ?!』 ぐんっと腕を引っ張られ、膝からがくっと崩れ落ち、ちょうどベッドの前へと尻餅を着いた。 『いぅっ…!』 骨の軋む音が聞こえた気がする。 骨にもろ当たったからかなりじんじんするし、痛い。 『ちょ、なにすんの!』 講義をするためにそう声を上げながら愁栖の方へ向く。 『…っ!』 その顔は、何故か真剣で、目が、怖かった。 怒っているのとは少し違うけれど、普段とは何かが違う。 『…っな、に……?』 「……………。」 見たことの無い愁栖に怯えつつ、とりあえず聞いてみるけれど、愁栖は無言で僕を見つめてくる。 「……キス、した?」 『…っ!』 起きて、た? いや、でも、あれは熟睡してたし…。 『……して、ない、よ?』 一応、嘘をついてみる。 これで通じなかったら、どうしよう。 「…じゃあ、夢?」 『そう、じゃないの、かな?』 よかった。怪しまれなかった。 でも、本当に夢で見ててくれたら、凄く嬉しいよね。というか、期待しちゃうよね。 まぁ、それはないからあれだけど…。 「……ふーん、まあいいや。 んじゃ、行くか。飯。」 『うん。母さん待ってるし、ね。』 二人一緒に一階へ降りて、あらかじめ、母さんには愁栖が寝てる間に愁栖もいるっていう話をしてあったから席もあるし、人数分ある。  
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