黄金のヒキコモリ

2/8
69人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
ありのまま今起こった事を話すぜ。 新生活にも慣れ始める六月某日に僕、日高昇が今日から居候になる叔父さんの家で、自分の部屋の押入れを開けたら美少女が住んでいた。 寝ぼけてるだとか催眠術とかチャチなもんじゃあ断じてなく、本当に押入れを開けたら金色の髪をだらしなくハネ放題にしている女の子が布団の上で『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいた。 表紙が顔の前に手を広げるジョジョ立ちのジョナサンなので、四巻。 タルカスとブラフォード戦だったはずだ。 何が起きているのか分からず、どうでもいいところを観察しながらついに異世界への扉を開いたかヒャッハーこれでリア充(リアルが充実)だぜとか思考を渦巻かせていると、美少女はへにゃっと力の抜ける笑顔を浮かべた。 「おー、昇じゃん。たまには電話しろよ」 「……あー、亜利栖か?」 聞き覚えのある、どこか間の抜けた声に状況を把握する。 押入れの中にダイレクトに布団を敷き、漫画を散らかしているのは同じ苗字を持つ俺の従姉、日高亜利栖。 イタリア人の血が半分流れているからか髪色は金で、ハネてはいるが腰にまで届きそうな程にボリューミー。 そしてサイズが大きく緩い黒のタンクトップの肩紐の片方が下がっており、今にもずれ落ちそうになっている。それと対照的に、小さめのショートパンツから伸びる手足は驚くほどに白く、思わず触れてみたくなる。 だが何よりも目を引くのは、タンクトップを窮屈そうに押し上げる胸元の二つの固まり。 見も蓋も無く言えば、サイズといい形といいすごくいい乳だった。 顔もまた色白で化粧っ気は全く無いが、それがかえって親しみやすいラフな雰囲気を彼女に与えている。 恐らく直接会うのは中学の卒業式、恐らく二年ぶりで、体の一部があまりにも成長していて本当に誰か分からなかった。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!