いつまでも愛してる

2/100
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
白い個室にベッドが一つ。 オレは愛しい君に花を届ける。 「今日は赤い花、いっぱい買ってきたで」 オレは花瓶に花を入れる。 「ありがとう。綺麗ね」 彼女はオレに微笑む。 弱々しくも健気に頑張る彼女。 オレが初めて出会った時の彼女も微笑んでいた。 今とは違い、凛とした笑顔だった。 初めて彼女に会ったのは一年前のよく晴れた日。 オレが大阪から引っ越してきたのが始まりだった。 たまたま彼女が出掛けるために外に出てきた時、オレが荷物を持って歩いていた。 「あっ、どうも。隣に引っ越してきた者です」 「こちらこそ」 彼女は凛と笑った。 多分、その時からオレは彼女に惚れていたんだと思う。 それから数日して、オレは学校に通うようになり、彼女はオレが下校すると毎日挨拶をしてくれた。 「おかえりなさい。今日はどうだったの?」 彼女は窓から顔を出して言った。 「特に変わったことはなかったで」 「でも、手に包帯が。大丈夫?」 彼女はオレの手を取った。 ドキドキする。 彼女の手から温もりが伝わってくる。 「喧嘩でもしたの?」 心配そうな目で彼女はオレを見ている。 「いや、これは剣道の時に…」
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!