ハートのお城に御招待

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「ねぇアリスーキミって、いーくんに連れられてこっちに来たんだよな?」 陽人と朝ごはんを食べながら、他愛ない話をしていると思い出したように言ってきた。 「いーくん?」 そもそも『いーくん』って誰よ。 「時計兎の呉羽和泉(くれはいずみ)兎の獣人だよ」 兎の獣人……ウサギ! 庭の前歩いていった人! うさ耳イケメンですか!? 「………うん、それらしき人を追いかけようとして落ちた」 「お城いかなくていいのか?」 …お城? お城ってお城? 「……ちんぷんかんぷんって顔だな」 そりゃそうだ。 だって意味分かんないし。 「……手違いってとこか。 アリス、俺はお前を気に入った。 だからお前をできる限り守ってやる」 手違い? 守る? やっぱり意味分かんない。 「う、うん……お願いします?」 とりあえず流されておこうかな? 「まかしとけ……っと、嗅ぎ付けられたか。はやかったな」 窓に視線を向けた陽人の耳がピクピクと動いている。 獣人ってやっぱり耳とかもいいのかしら……? 「嗅ぎ付けられた……?」 「あぁ……逃げるぞ!」 「……へ?ってうわぁっ!」 意味不明な話を一人で進めていた陽人は、いきなり私の腕を掴むと裏口から外に出た。 そしてそのまま私を(また)抱き上げ走り出した。 しかも最初っから全力疾走だし。 「ちょっ何すんの!?」 「逃げるんだよ死にたくないだろ?」 何で私が死ぬとかなってるのさ!? 「いみわかんないっつーのぉぉぉぉ!!!」
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