ハートのお城に御招待

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―――キンッ!! 鉄どうしがぶつかる、高く耳障りな音が響く。 2対1なのに、全くひけをとらない陽人はやっぱり人外か。 ってか何この状況!? 冷静に観察してる場合じゃないって! そ、そもそも! あんな物騒な物振り回したら…… ―――ザシュッ 赤色の液体が宙を舞った。 やっぱり。 って違う! 「陽人っ!?」 アレの持ち主は、服を赤く染めている陽人だろう。 答える余裕がないのか、私の声に返事をしないまま彼らの乱舞は続く。 少しずつ傷が増えていく。 傷をおっているのは陽人だけではない、光と薫も同様だ。 辺りに血の匂いが満ちてきた。 不快……だ。 「『アリス』貴女は僕を警戒するべきですよ?」 突然背後から、声がした。 陽人達の乱舞に気をとられて気配に全く気付かなかった。 「い、和泉…さん」 「和泉で結構です。 さて、『門番』が足止めをする間に貴女を拐うといたしますね」 「なっ!?」 ゆっくりと近づく和泉から、逃げようとする気持ちとは裏腹に体が全く動かない。 ニコリと笑顔を作った和泉の瞳は全く笑ってない。 和泉の差し出した手は、私の腕を掴み強くひいた。 ―――ガッ 突然首の裏に加わった力によろめいた―――と、意識が暗闇に沈んだ。
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