序章

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
よく医療ドラマなどであるあの独特な電子音。心電図というやつだ。 「おい。まだ終わらないのか?」 重火器を持った男が、白衣服の男に向かって苛立たし気な空気を含みつつ口を開けた。 「もう少し、待ってくれ。後30分位で終わる。すまん、汗を拭いてくれ」 医者も重火器を向けられないように時間を正確に告げていた。それに繋げて、看護士に指示をする。 「だからって焦って失敗してもらっちゃぁ、困る。なんせ、こいつは兄貴の娘なんだからな!丁寧にやれよ。」 丁寧にやれというが、殺してもいいのかと誤解しそうだと医者は少し思ったが、見た目20位の娘を殺しても、どうにもなるわけでもない。 (この娘で、3人目だ。この薬と、お腹の中に箱をいれるのとどう関係があるんだ?) 医者は連続で手術させられていた中で、このような疑問が湧いていた。 「さて30分経った、そろそろ終わるのか?」 「あぁ、縫合する。」 「はぁ…やっと終わっ…」 重火器を持った男の気が抜けている隙に、メスをもって背後に医者が周り込み首筋に突き立てていた。 「んの゙やろ゙ぉ」 と、声を荒げ首から血飛沫をあげつつ重火器を放った。それも、狙いなど全くしていない。心電図の画面や、照明など機材全般に当たり、至る所から火花が上がった。 部屋の中の呼吸音は一人分しかしていない。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!