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時は流れて一月後…
新幹線車内のファーストクラスに居る中で浮くほどの若い女性が一人…
「はぁ…まだ少し痛いな。」
と、ちょうど下っ腹をさすりつつ独り言。
『間も無く新宿、新宿です。お降りの方は…』
車内アナウンスが流れ、手に荷物を集めている。
「やっと家に帰れるぅ~」
「お待ちしておりました。お嬢様。」
スーツ姿の男が一人降りた途端に現れた。
「徳永!何で連絡もしていないのにいるの?」
彼女も訳がわからないようだ。
「お嬢様のカードの使用情報を元にここでお降りになられると存じましたので。」
「カード会社の情報ってこと?」
「そのようにございます。」
「呆れた。明らかに個人情報漏洩でしょ。まぁ、良いわ。荷物持ってちょうだい。」
「かしこまりました。お嬢様。」
徳永と彼女の関係は、彼女はお嬢様で徳永は執事に当たる使用人である。
スーツ姿の男がまた一人近付いて来た。
「すみません。お手元の荷物を見せてもらってもよろしいですか?」
と、言いつつ警察手帳を見せてきた。
「よろしいですか?お嬢様。」
「ええ。良いわよ。やばっちい物なんかこれ一つも入れてないから。」
手際良く警察官は荷物を開けていく。
「このビニール袋の中身はなんですか?」
彼女は、赤面しつつ答えた。
「私の下着です。」
「そうですか。お手を煩わせてすみませんでした。協力感謝します。では、失礼します。」
と、開けた荷物をそのままに別の人に声を掛けていってしまった。
「なんなのよ。人の荷物開けてそのままにして行くなんて。」
「今日のこの時間ごろに爆弾が仕掛けられるとの警察に報告があったらしく、その捜査ではないでしょうか。」
「あっそ…まぁ、仕方ないわね。今度は、きちんと礼儀ってもんを教えてあげなくちゃね。」
片付けつつ、文句をつけていた。 徳永も、渋い顔を隠せないでいた。
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