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気が付くと、外の風景はいつの間にかトンネルの中だった。会社の入り口だが、VIP専用の入り口だそうだ。
「お嬢様。着きました。」
「ありがとう。徳永。時間掛かると思うから、休憩してなさい。」
「ありがとうございます。行ってらっしゃいませ。」
「さてと、お客さんって誰なのかしら…」
と、言いつつ、エレベーターの最上階のボタンを押した。
この会社自体は、武器の製造販売でなりたっている。販売といっても、警察への支給品として国が買い取っている。それ以外に他国への貿易を国が許可している。その為、ここまで成長することができた。
その社長というのがちずるの父親だ。
エレベーターから出ると、広い廊下、そして、社長専用休憩室と言える一部屋を横目に、秘書の川崎が入り口の横に机一つ置いてあるところに腰掛けていた。
「お待ちしておりました。ちずるさま。社長は今、お客様と接待中でして、今しばらくかかるかと思われます。今少しお待ちください。」
「ねぇ、川崎さん。お客ってどちらのお方?」
「さぁ、私としては受けておりませんでしたので、どのような方か存じておりません。」
「どんな人だった?」
「制服だと思われますが、派手な色彩を基調とした服装の女性達でした。」
「女性達って、何人だったの?」
「3人でした。そのようなことをお聞きになってどうするんですか?」
「ん~。ちょっと気になったのよね。なんで、この会社に女性のみで、しかも社長に秘書の川崎さんを通さなくても話ができるなんて、どうしたのかと思うじゃない。」
「私としては、驚くばかりです。」
「だよねぇ。まぁ、仕方ないね。話が終わるまで待つしかないか。」
「申し訳ありません。ちずるさま。もうしばらくお待ちください。」
社長室の前で待つといっても、することと言えば川崎と世間話や、今まで大きな変化が会社にあったかどうかを聞くくらいであった。
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