詩～短編集～⑲

ココロノナカデ。

恋しくて。
恋しくて。
恋しくて。

いつも見ていた。
君は知らないかも
しれないけど。
何度も見てきた。
君の苦しそうな、
その顔を。
僕では
頼りにならないのか。
僕では
代わりになれないのか。

切なくて。
切なくて。
切なくて。

僕は、君のためになら、
何でもできるのに。
憎いあの男を
殴ってやることも、
君の身体に残る、
あの男の香りすらも。
消してやれるのに。

君が許すなんて
嘘ばかりつくから、
僕も許すしかできない。
君は瞳で嘘をつくから。
僕は嘘を見過ごすしか
できないんだ。
本当は…
君を奪い去りたいのに。

恋しくて。
切なくて。
…愛しくて。
君がほしくて。
君だけが、ほしくて。
でも。
揺らぐこの心の向こうで
君が微笑んでいるなら。
僕はこの心を殺そう。
君を想う、
この心を殺そう。