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私は何時も思っていた…
世界が望んでいるのは一騎当千を舞う者であり。己の危険も顧みない自己犠牲が実行できる者が世界が望んだ英雄になれると―
どうして!?
なんで!なんでぇぇーー!!
割れた火炎瓶の炎が闇に揺らめく。空に穴を空けそうな女の叫び声。
銃弾で破かれなくなった空っぽの身体は冷たく倒れていた。
既に事切れた屍は何も語らず渇いた瞳で川原の顔を見ていた。
機動隊の増援要請で西成区に入り3度の銃撃戦を経験し捜索範囲を広げる内に死亡者を出してしまった。しかも指示を出していた張本人である現場指揮者が死んだと言う最悪な状況だ。
鈴は先輩達がこれからどうするのかと顔色を伺う。
補佐の真田はおもむろに携帯電話を開きGPS端末で現在地点を確認する。
「なんだそれ?」
「とりあえず位置の確認だ。機動隊の第2分隊を捜索するにしろ。原の遺体を運ぶにしろ。他の班と合流しないといけないだろ」
「ハイテクな優等生は違うねェ~」
伊東は関心した表情をする。
真田は淡々と携帯のキーを指先で操作し画面をタッチした。
黒い背景に緑色の文字が音声認証コードと生体番号を入力して下さい―
と案内の文字に真田は携帯のマイク部分に向け自分の名前を言い認証コードを続けて入力した。
…
…
…
…
…
…
…認証接続中……
…
…
…
…
…
……声帯反応を真田孝彦本人と認識列びに認証コード確認中…
………
……
…
…
…
…
…
…確認完了…
接続端末をお選び下さい
画面に西成区内の地図が浮かび上がり左横にいくつかの項目欄が現れる。
【GPS】
【作戦概要】
【部隊配置】
【戦死者リスト】
【伝令】
―――――――
真田は画面に映るGPSのワードを軽く指先で撫でた。
接続中の文字の下に地図のロード時間が表示される。
…
…
…
…
…
…
…接続中…
…
…
…
…
…
…
データ習得完了―
習得完了の機械音が鳴り5秒くらいして画面に半径500メートルの地図と座標が表示される。
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