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…と、まぁ、そんな訳で俺は近場の小屋みたいなとこで尋問を受けている。
「もう一度聞くが、君は何者だ?」
その質問は、もう何度目だよ…。
「だぁから…、俺は日本の高校生の坂峰紀信って言ってるでしょう?
何度同じことを聞けば気が済むんですか?」
このオッサンの顔を見てるとすっげぇムカつく…。
なんか戦争映画とかによく出てくる腹黒いナチスの将校みたい……あ、こいつナチスじゃん。
こんだけ質問受けて一つわかったのは、ここは本当に1939年のポーランドらしい。
…まだ夢の可能性もあるが。
「そこが怪しいと言っているんだよ。
何故日本の学生がこんな所にいる?」
「そこがわかってりゃ、俺だって答えますって。
黙秘する理由がないですからね。」
さっきから説明してんのに、全然わかってくれねぇ。
軍人が頭固いってのは本当みたいだなこりゃ。
「ふう、埒があかんな。
まるで違う世界の人間と話しているようだ。」
将校は呆れたようにそう言うと、煙草一本吸いはじめた。
「ある意味、違う世界の人間ですよ。」
俺は、そう心の中で呟いたつもりだったが、口に出てしまっていたようだ。
将校は、それを聞いて、俺に対する質問を変えてきた。
「気になるな…。
サカミネ…、と言ったか。
何も言わずに聞いてやるから、君の知ることを喋ってはくれないか?」
「………、」
俺は迷ったが、どうせこのまま同じ質問を繰り返されるくらいなら、と喋ることを決めた。
「俺は西暦2011年の日本から来た…、というより飛ばされた。
俺もはっきり覚えちゃいませんがね。
とりあえず俺はこの時代の人間じゃない。
証拠に…、これを見てください。」
俺はポケットに入っていた携帯電話を将校に渡した。
ずっと圏外だから使えなかったのだ。
「それは未来の電話です。
信じてもらえました?」
将校はじっくり俺の携帯を見た後に、外に出ていってしまった。
「…情けない奴。」
ここボソッとア〇ロの台詞を呟いたのは秘密である。
しばらくして将校が戻ってきた。
さっきの歩兵ズ2人も引きつれている。
「たった今、君をベルリンに送る命令が下った。
君にはベルリンに行ってもらう。
安心しろ、拘束したりはしないからな。」
「そうか、よかっ……、えぇえええええ!?」
母さん、僕の初めての外国は、スリリングな旅になりそうです。
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