あのかの有名な独裁者がこんなに可愛い訳がない

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「貴様、運がよかったな。 普通なら銃殺されてもおかしくないぞ?」 俺と歩兵2人は、輸送車に揺られていた。 「自分でもびっくりだよ、えっと…、」 「自分はアヒム、アヒム・ベーレンドルフだ。 そしてこっちのでかい方がラインホルト・ゲオルギー。」 細身の、アヒムと名乗ったドイツ兵はそう言うと、手を差し伸べてきた。 特に嫌がる理由もないので握手を交わす。(ラインホルトは手を握り潰されそうなので遠慮したが…) 話す話題がなかったので、気になっていた質問をアヒムにした。 「なんで俺はベルリンに連れて行かれるんだ? なにかをした覚えもないんだけど…。」 「総統閣下が貴様に会ってみたいらしくてな。 それでだ。」 ヒトラーが俺を…? あの短い時間に組織の中枢まで情報が伝わるなんて、すげぇぜドイツ! 「はぁ…。総統閣下をお目にかかれるとは…お前も幸運なやつだな…。」 ラインホルトが大きなため息を呟いて言う。 「ラインホルトは閣下に心酔していてな、いつもこれだ。」 しかしあのヒトラーに心酔なんて…お前、コレなのか…? などと日向の真似をしていたら、この世界も悪くないと思えるようになってきた。
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