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「嘘って…、じゃあ私以外に誰がいるって言うの?」
「声はガラガラで、ある程度年をとっていて、ちょび髭生やしてて、一次大戦の時の階級が伍長勤務上等兵だったオッサンだ!」
「何ソレ?どこのおじさんの経歴よ?
私は間違いなくアドルフ・ヒトラーよ。
でなければこんなところにはいないわ」
嘘だ…、嘘だと言ってくれ…。
体の力が抜けた俺は、そこら辺にあった椅子に、倒れるように座った。
「早速だが、なんで俺を呼んだんだ?
…えっと、総統閣下?」
「そんな改まって『総統』なんて呼ばなくていいわ。
気軽にアドルフと呼んで。
なんならハイディでもいいわよ」
「なんだよ、ハイディって?」
「私のあだ名。
友達が私の名前が女の子らしい名前じゃないからって、付けてくれたんだ」
うれしそうに笑うヒト…、ハイディ。
やっぱ女の子なんだ…。
実は男でした展開を期待してたのに…。
「じゃあ改めて聞くがハイディ、何故俺を呼んだ?」
「そりゃあんたが未来人だからよ。
そんな貴重な存在、世界中飛び回ってもあんたしかいないわ!」
「じゃあ何か?俺が未来人だって本気で信じてるのか?」
それはそれで変人だが…、確かに、ヒトラーにはオカルトな話が付きまとうし、ハイディがそんな感じでもおかしくはないか…。
…って、何もうこいつがヒトラーとか思ってるんだ俺!?
心の中で葛藤する俺をよそに、ハイディは質問を機関銃のようにぶつけてくる。
「あんたの世界はどんなの?どんな兵器があるの?第三帝国は健在?戦争は今でもやってるの?」
一言喋るごとに俺に近付いてくるハイディ。
俺は椅子から立ち上がって後退りするが、質問を止める気配は全くみられない。
「あんた日本人でしょ?日本の世界的地位はどうなの?ソ連は?イギリスは?」
そして俺の背中が壁にぶつかった時、何も答えない俺に対してハイディが鼻と鼻が触れそうな距離まで接近してきて、一言。
「何か答えなさいよ!」
「……真面目な声をだすな息を吹きかけるな顔が近いんだよ気色悪い」
そのときに、キョンの台詞が出てきたのは言うまでもない。
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