過去が語る存在は

2/14
前へ
/63ページ
次へ
世界がつまらないと感じ始めたのが小3の春。 きっかけは、ほんの些細なことだった。 「おまえ、気持ち悪い」 子供じみた暴言。 「そう、なんだ……」 それをみすみす認めた僕は。 幼すぎる故に、素直すぎた。 自分を気持ち悪いと認めた僕。 その噂は、みるみるうちに広がって行った。 人間とはおかしなもので、1人が始めた悪意は、関わりの有無に関係なく伝染するらしい。 周囲はそれを次第に、 当然の事実だと認識し始めた。 「キモい」 「クズ」 「死ね」 気付いた時にはもう、遅かった。 僕はすっかり、 虐められっ子になっていた。 そしていつの間にか、 ひとりぼっちになってしまっていた。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加