第一章─静かな朝─

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結城たちと月乃が作り出した空間で激闘を繰り広げて数日経過していた。 結果は引き分けという後味の悪いものだったため、結局決着はついていないままだ。 ただ、もう一度戦うとかはさすがに無理なので、お互いに勝手にするということになってしまった。 世界が滅びるかもしれないという危機がすぐそこまで来ているというのに、世間は何も変わらないな。 学生であるオレは、今日もいつも通りに登校し、机の上に上体を預けていた。 デュポーンは気ががりだが、もう一つ気ががりがある。 あの自由人のことだから、またどっかをほっつき歩いているのだろうが、それでも気になる。 オレが呼べば……というか呼ばなくても、必要だと感じれば勝手にやってくるあいつが、あれからまったく姿を現さない。 携帯も繋がらない。 完全に月乃と連絡が取れないのだ。 結局、返事を先送りにしたままで申し訳ない。 早く何かしら伝えないと傷つけてしまうかもしれないから何とかしたいのだけど……。 「どこで何やってんだかなぁ」 ため息混じりの呟きで、僅かに机が曇った。
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