第一章─静かな朝─

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キーンコーン──と景気よく鳴り響くチャイム。 だと言うのに、要さんはやって来ない。 不思議に思いながらも、ただの遅刻だろうと思い、思考を打ち切る。 途端に、ガラガラと音を立ててドアが開いた。 入ってきたのは、なぜか茜さん。 ……いや、何で? 「……何やってんスか?」 「見ての通り、代理だ」 結城の問いに淡々とした口調で答える茜さん。 「代理って、要さんは?」 「有給取った」 「何で?」 昨日までは普通だったじゃん。 何かあったのだろうか? 「ひとまず、さっき職員会議があってだな、今日の授業が全部中止になった」 「よっしゃああああぁぁぁ!」 待て! 喜ぶより前に理由を聞けよ結城! 机の上に片足を乗せ、ガッツポーズを取る結城の額にチョークがめり込んだ。 そりゃあもうめり込んだ。 床に沈む結城。 気にも止めない茜さん。 「何かあったんですか?」 「脅迫状」 「は?」 「脅迫されてんだよ」 ……何て?
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