第一章─静かな朝─

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「詳しくは言えないが、ニュースは見たろ? それ関係だと思っておけ」 なるほど。 イービルレインか。 しかし、脅迫なんて安い真似を奴等がしてくるか? ちょっと想像できねぇ。 「というわけで、授業どころじゃない。 ひとまず今日は自習だ」 「帰ってはいけないんですか?」 誰の声か。 多分クラスメートの誰かの声。 考えることはみんな同じはずだ。 「脅迫されてるんだ。ここの方が安全……とまでは言えないが、無防備に外に出るよりはここに固まっていた方がいい」 前回のことがあるからか、絶対に安全だとは言えないのだろうな。 一度は跡形もなく潰されたんだから、それも仕方がない。 「とにかく、自習だ。 私は職員室に戻るから、何かあれば来るように」 それだけ言って、茜さんは教室から出ていった。 それと同時に、茜さんを追うように霧科と怜奈が立ち上がった。 そのまま教室から出ていこうとしたものだから、慌ててオレはそれを追った。 「何してんだ?」 「……おかしいと思わなかった?」 何を? 首を傾げるオレに、怜奈は小声で説明してくれた。 「先生が休みで、そこに脅迫状なんて来るなんて、タイミングが変じゃない」 「どういうこと?」
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