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亀……? 「17の俺も、今の俺もいつだって仁が好きなのに、仁は…… 今の和が好きなんだ?和にキスしたのも――そういうことだろ?」 え? 亀が堰を切ったように、そう俺に言ったんだ。 お前、急にそんなに素直になるなよ。 ずるいよ……俺だって、ずっと、伝えたかったんだから。 「違うよ。それは…いろいろ成り行きで」 って、俺、最低な言い訳してるな。 でも、聞いて……… 「俺だって、ずっと昔からお前が好きだったよ。和が来て、ああこの頃から好きだったんだなって気付いたよ。和にキスしたのは…… あいつ、お前だろ?」 そう言って、亀を抱き締めた。 大人の亀の体は、今の俺を安心させる。 亀は黙って抱きしめられていたが、しばらくクスッと笑った。 そして 「……和も今ごろ、仁に抱きしめられてるかも。」 俺の胸の中で、そう呟いた。
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