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「あ!ルノアス様!やっと発見しまし……」
「普通に入って来い!ジング!」
ジングの言葉を遮り、ルノアスは大声で言う。軽く殴ろうかとも思ったが、グレインもいるのでやめておいた。
「で、久しぶりの悪魔界はどうだったんだ?」
「最初は変な目で見られてましたけど、帰る頃は大丈夫でしたよ!」
「そうか大変だったな」
何の感情も込めずに、棒読みで喋るルノアス。
ジングは何かを思い出したようで、「そういえば」と前置きをして話し出す。
「王から、なぜか階級を昇進するって言われまして、中1級から特級になっちゃいました」
「お前を"特級階級"に?」
「そーなんですよ!」
得意気に話すジングは、ルノアスの少し後ろの方にいたグレインのことをじっと見つめた。
「ルノアス様。そこの人間……グレインと"契約"したんですか?」
「あぁ、そうだ。さっき"契約"をした」
ルノアスは背後にいるグレインを見ながら、"契約"をしたことをジングに伝えた。
「あ、ルノアス様は正式に《魔神候補》になったそうです。僕は特級の管理職の仕事を貰い、ルノアス様の補佐に任命されました」
「ところで、管理職って?」
「……やっぱり知らないですよねー」
ルノアスは怒ることが面倒になり、ジングの軽口を受け流した。一方のジングは再び得意気になって説明を始めた。
「管理職っていうのは、特級悪魔の一部がなる役職の1つです。管理職にも役割がいくつかありまして、僕の場合は《魔神候補》を補佐することです」
「なるほど……。そういえば、ロベールはどうなったか知っているか?」
「ロベール……ですか?僕には、知らさせていないので分かりません」
ルノアスから"ロベール"という言葉が出て来た途端に、ジングは渋い顔をした。ロベールに関してジングは知らないという。
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