Episode 1

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ジングは何かを思い出そうと少し考え込み、「あ、思い出した」と言ってルノアスに向き直って言う。 「ルノアス様、王からの伝言があります」 少し間をおいてから、話し出すジング。 「『"契約"が終わり次第、悪魔界に戻って来てもいい。帰って来たら、すぐに私のところへ来い』。こんな感じです」 「分かった。まぁ、"契約"がいつ終わるかなんて……僕には分からないけどな」 ルノアスはずっと黙っているグレインの方をちらりと見た。ルノアスの目線に気づいたらしいグレインは反論をした。 「"契約"をしないかと言ったのはルノアスですよ?」 「誤解をしないで欲しいな」 グレインはルノアスの言ったことがよく分からないという風に、少し首を傾げた。 「僕は『"契約"をしないか』とは言った。『"契約"をしてくれ』とは言っていない。お前が判断したんだ」 「……」 グレインは反論出来ずにただ視線をさまよわせた。 つまり、グレインはルノアスの"言葉"に惑わされてしまった、ということになる。 ルノアスは暇そうにしているジングの方を向き、ジングの名前を呼んだ。 「僕に話すことはまだあるか?ジング」 「うーんそうですね……ないと思いますよ」 「分かった」 ルノアスはジングが割った大きな窓の近くに移動した。
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