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ルノアスは窓から体を乗り出して、周囲を確認し始めた。
グレインやジングと話している間に、ルノアスと同じ"気配"を感じていたのだ。
「気になることでもありましたか?」
ルノアスの行動に疑問を持ったのか、グレインは質問をしてみた。
「ああ、僕と同じ"気配"を感じるんだが……」
グレインの質問に答えつつも、ルノアスは気配を探り続ける。しばらくして、ようやく気配の正体を掴めた。
「"ジャック・ロイド"!近くにいるんだろ?姿を現せ!」
ルノアスは"ジャック・ロイド"という人物の名前を、命令口調で呼んだ。
「まさかお前から命令口調で呼ばれるとは、思わなかったなぁ」
なんていう、気の抜けたような声が3人に聞こえた。その直後のことであった。
「がはっ!」
ルノアスはまるで誰かに蹴飛ばされるかのように、窓から反対側の壁まで飛ばされた。
そして、窓の縁(ふち)にはルノアスと似たような貴族の正装をした、背の高い青年が座っていたのだ。
「おいおいルノアス……お前が俺に命令する立場じゃないだろ?」
「ジャック……黙れ、よ」
「お前が黙れっての!」
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