Episode 1

6/8

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
ルノアスは窓から体を乗り出して、周囲を確認し始めた。 グレインやジングと話している間に、ルノアスと同じ"気配"を感じていたのだ。 「気になることでもありましたか?」 ルノアスの行動に疑問を持ったのか、グレインは質問をしてみた。 「ああ、僕と同じ"気配"を感じるんだが……」 グレインの質問に答えつつも、ルノアスは気配を探り続ける。しばらくして、ようやく気配の正体を掴めた。 「"ジャック・ロイド"!近くにいるんだろ?姿を現せ!」 ルノアスは"ジャック・ロイド"という人物の名前を、命令口調で呼んだ。 「まさかお前から命令口調で呼ばれるとは、思わなかったなぁ」 なんていう、気の抜けたような声が3人に聞こえた。その直後のことであった。 「がはっ!」 ルノアスはまるで誰かに蹴飛ばされるかのように、窓から反対側の壁まで飛ばされた。 そして、窓の縁(ふち)にはルノアスと似たような貴族の正装をした、背の高い青年が座っていたのだ。 「おいおいルノアス……お前が俺に命令する立場じゃないだろ?」 「ジャック……黙れ、よ」 「お前が黙れっての!」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加