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「あなたがジャック・ロイド様なんですか?……すみません、初めてお会いしたので、誰だか分かりませんでした」
「構わないよ。俺は悪魔界が嫌いで、基本的に人間界にいるんだ。知らなくて当たり前だ」
ルノアスが見せる不敵な笑みと違い、ジャックはジングに向かって微笑んだ。
「笑うなんて……ゴホッ、気持ち悪いな」
ジャックに蹴られた腹部を押さえながら、ジングに近づいて行くルノアス。
「お前の無駄口が減るように、もう一発蹴ってやるか?」
「……遠慮……しておく」
ルノアスは蹴られることが嫌だったようで、俯きながら断った。
一方のジングはルノアスとジャックを交互に見ては、首を傾げていた。
ジングの様子を見たジャックは、口元に笑みを浮かべる。
「なあ、ジング・オベラウト。お前はこう思っているんじゃないか?『ルノアスはいつ俺と知り合ったのか』って」
「……ご名答です、ジャック様」
「良い機会だから、俺と"ルノアス・ベアトーズ"の昔のことを教えてやる。よく聞いとけ」
言いながらジャックは窓の縁(ふち)に一瞬で移動して語り出したーーー。
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