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さわさわと生暖かい風が、彼女の長い髪をなびかせる。
青い空、静かな何もない、ただ時を刻む土地。
辺りは山に囲まれていて、人里から離れていることが分かる。
しかし、そこには2人の少女がいた。
ひとりは、まだ幼さを残し長い髪をなびかせている。
もうひとりは、凛としていてなにも迷いがなく、髪が短いせいか遠くからだと、男に見えなくもない。
「本当にここでいいのかな?」
長い髪の少女が不安げに、隣にいる短い髪の少女に聞く。
「大丈夫。ここで間違いはない」
はっきりと、前を見つめながら言った。
彼女が見つめているのは、何もないただ地平線だけが見える、平地だ。
でも、彼女達は分かっていた。
ただの平地ではないと…
その場所からはあり得ないほどの、場違いな雰囲気が漂っていたのだった。
足を進めるにつれ、鋭い静電気のような痛みが全身を走る。
本能的に分かった、ここは来てはいけない。
今すぐ逃げろと自分の本能が、そう囁きかける。
でも、そうしないのは、危険を侵してまで、やらなくちゃいけない事が、あるからだ。
ザッザッとまた一歩、歩みを進めるのであった………
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