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「?刹、なんで知ってるの?」
「……………」
見ていた、なんて言えないよ。
言えるわけない。
パイプ椅子に座って自分で手当しようとしている佳奈に近づいて、しゃがみ込む。
そしてガーゼを持っている邪魔な手を退けた。
「刹?」
何するの?といった声で呼びかける佳奈。
答えを返さずに佳奈の足首を持つ。
細い足…。
こんな足でいつもどうやって支えてるの?
俺の手に簡単に納まりそうな小ささで、どうやって歩いているの?
佳奈のすべてが、愛おしい。
痛々しい傷口を自分の口元に寄せていく。
「刹っ待って!汚い!汚いから!!」
じたばたと暴れるけど、俺に気を使っているのか、直ぐに抵抗を止める。
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