第5話~恋として~

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「あいつにも触らせたの?」 答えは分かっていたけど、少しの希望が顔を出して俺の口を動かした。 「……あい…つ……?」 急に問われたからか、心当たりがないからか、逆に俺に聞き返してきた。 「さ、……さき…くん?」 名前を聞いた瞬間、胸がドクンッと跳ねた。 4年ぶりに佳奈の口から出た男の名前は、物凄い速度で俺を劣等化した。 弟の俺と、 佳奈となんの関係も持たないないササキ。 そんなの、男としてどっちを選ぶかなんて、分かりきっている。 そうだ、ちょっと考えれば分かること…。 俺が佳奈に恋をして迷惑なんてすぐ分かる。 俺と違う男の方が佳奈は幸せになるに決まってるじゃないか。 ただそれをしなかった。 自分でも知らないうちに、考えるのをやめていた。
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