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ずっと持っていた佳奈の足が、俺の手からすっと零れ落ちる。
「刹」
俺を、愛おしそうに呼ぶ声。
とても、弟に対して呼ぶような声じゃない。
ツツ…
親指だけで俺の左目のしたあたりを撫でる。
そんな仕草にまたドキリとする。
「好きだよ。
弟として」
そう言って佳奈は、俺にキスをした。
とても短くて、軽いキス。
そんなキスでも、俺の心を揺らがせた。
そして、最後の言葉。
『弟として』
…………………。
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