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…その日の夜
「………」
X001はバンエルディア号の甲板にいた
ふと後ろに人の気配が
「此処に居たんだ…」
「…この声は、カリナか」
「…ノイル達が、貴方が居なくなったと騒いでいたわよ?」
「…それは悪い事をしたな
しかし…」
X001はそこで言い淀む
「…しかし、何?」
「…俺には夢がある」
「………」
「何の変哲のないただの夢」
「…その夢は何?」
カリナの口調は答えを急かすものではなく、優しく包み込む様な柔らかなものだ
「俺の夢…
それは空が見たい…」
そう言えば、X001は隠されている眼で空を見る
「今、この目隠しを外せば空を見る事ができるだろう…
しかし、恐いんだ…」
「…恐い?」
「…そう、恐いんだ
もし、夢が叶って空を見れたら…自分には何が残るのか…」
「………」
「今まで、俺は空が見たい一心で生きてきた
だから…」
「…生きる目標が無くなるのが恐い?」
X001は無言で頷いた
「…生きる目標を失う事を恐れる必要ない
だって…」
カリナは後ろからX001の肩を抱きしめ
「また、新しい目標を探せばいいから…
だから…
まずは夢を叶えてみよう?」
X001は少し考えてから頷き
目隠しへと手を伸ばした
「…っ!!」
しかし、その手は震えていて上手く外す事ができない…
「…大丈夫、私が傍に居るから」
カリナはX001の前に回り込み、手に自分の手を重ね呟いた
X001はカリナの言葉に頷き…
…目隠しをとった
「あっ…」
X001が最初に見たのは…
白銀の髪を風に軽くなびかせた一人の少女だった
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