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母と女の子の目が合い、女の子はいかにも行儀良さそうに(今までの会話とは正反対だ)会釈した。
「あら、可愛らしい女の子ね。大変だったでしょう。どうぞ上がって」
「ありがとうございます!」
今まで、悪魔云々の話をした後の態度とは、打って変わって、素直そうな少女を演じていた。
3人でダイニングに上がり、僕はテーブルについた。
女の子は僕の隣に遠慮がちに座った。
母が少女と自分の分の食事を用意し、女の子の正面、僕の斜め前の席についた。
「記憶喪失って事は、名前を覚えてないのよね?」
「はい……」
上品に食事をしながら、物寂しそうに言った。
僕に対する態度と違いすぎて、なんだかムカつく。
「大丈夫、みんなで新しい名前を考えましょう」
母が僕の方を一瞬見て言った。
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