一晩が過ぎ

4/21
前へ
/173ページ
次へ
学校で何事も無く過ごす。 休み時間になると毎度、滝村が話し掛けてくれた。 滝村は出来る事が多すぎて、正反対の僕とは関わらないと思っていた。 唯一成績だけは僕の方が上だ。 と言っても滝村だってこの学校に来ている時点で、世間的には賢いのだろう。 ここ、私立岸真辺高校は当初、そこまで賢くなかったらしい。 しかし自由な校風のせいで志願者が増え、倍率と偏差値が上がって県内でも有数の進学校になってしまった。 それでも入学するのは校風と制服目当てな生徒ばかりで、真面目な生徒は少ない。 希少価値だ。 僕だって体育はサボるし(筆記テストだけで頑張る)、授業中は寝るし、そういった面ではやはり、滝村の方が出来ているのだろう。 クラス1の美人と言われる女子生徒の、隣の席になって浮かれて、たまたま後ろの席にいた僕に話しかける様な奴ではあるけど。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加