消えた日常

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日本三景松島。 美しい海岸線、きれいな空気。 修学旅行でも人気の場所である。 おれは田中一郎。 松島のある旅館の従業員として働いていた。 昼過ぎおれはいつものように客室の昼食を片付け部屋の掃除をしていた。 「田中~。そっち終わったらこっちも頼む、な。」 「あ、は~い。」 業務用の思い掃除機を担ぎ、おれは先輩の山本さんに言われた部屋に向かった。 その部屋は若い夫婦の泊まる部屋だった。 乱れた掛け布団を見てしばし妄想に浸っていると、テーブルの上に写真が置かれているのに気づいた。 その写真は2人の若い男女が笑顔で写っている写真だった。 結婚式の時に撮ったのだろうか。 真ん中に写る若い女性は真っ白なドレスを着ていた。 『東野 喜太、みなみ 結婚式にて』 おれは写真の下に書いてある文字をみつけた。 やはり結婚式の写真のようだ。 おれは掃除機をかけた。 ウォーンウォーン 掃除機の音を切り裂くサイレン音が鳴った。 「なんだ!?おれの携帯か?こんな着信音じゃなかったよな。」 おれは携帯に手を伸ばした。 が、携帯を開いて見るだけの余裕はなかった。 ガダガダガダガダ!!! グラグラグラグラ!!! ゴゴゴッゴゴゴッ!!! ドンガラガッシャーン!
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