豆乳も酒も、慣れれば美味いけれど、慣れない内は微妙。

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そんな中。酒場を後にしたジークはテクテクと帰路についていた。 酒は強い方ではあるが、今日は珍しく酔ってしまったようだ。酔ったと言っても、多少フラつく程度だが、それでもジークに取って珍しかった。 (ちと、ヤケ酒が過ぎたか……) ポリポリ、とジークは少し赤みを帯びた頬を掻く。どうも愚痴を吐くと酒が進んでしまうのだ。それと、昔なじみのマスターと話していたから気が緩んでしまっていた、と言う事も要因の一つだ。 女のフリをして、酒を奢って貰っている時は、絶対にこんな事はない。逆に、相手を酔わせ――何もないまま、その場からトンズラ。お代は勿論相手に払わせる。弱者をいたぶるようなクズ相手なら、更に金まで巻き上げる。 マスターの、ジークが『割とクズ』だと言うのは、実際、かなり的を得ていたのだった。 「はは……はははは……はー」 心臓は煩く鼓動し、頬が熱くなる。けれど、気分は良く、思わず笑い声が洩れでる。 ホロ酔いであった。 「……家帰ったら、直ぐさま寝るとするか」 と、独りごちた所で。 キラッと、夜空が微かに光った。 (……流れ星か?) ジークはそう推測したが、注意深く見るとそれが違う事に気付いた。白い何かが、落ちてきているのだ。ジークのごく近くに。それも、かなりのスピードで。 酔っている状態なので、見間違いかと思い、目を擦るが、どうやら見間違いではないらしい。何やら、『ちょ、いきなし落下とか! どんだけテンプレートなんですかぁああああ!!』とか叫びつつ、何かが落下し――墜落した。 ドパァアアアン、と凄まじい音がしたので、どうやら街のハズレの湖に落下したらしい。 「……てゆうか、オレん家の近くなんだが」 なんだかすっかり酔いが冷めてしまったジークは、帰宅するついでに湖へと向かうのだった。
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