豆乳も酒も、慣れれば美味いけれど、慣れない内は微妙。

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††† 湖は、街のハズレの中でも極めて端にある。分かり易く言うならば、街のハズレの更にハズレ――と言った所なのだった。なので、『アスパル』の住人は勿論、街のハズレで色々と悪行を行うチンピラのような輩すらも、滅多に訪れない――そんな場所だった。 だが、人が訪れないからこそ、辺りは静かで穏やか。なので、ジークはここで、物思いに耽ったり、一人のんびりと酒を飲んだりしたりと、割とお気に入りの場所だった。  この湖の近所にある空き家を、勝手に居座って、寝床にしているのも、この湖が理由である。 割かし大きい湖で、直径は大体1kmはあると思われる。 そんな秘境のような、場所に。 「………………」 ジークは言葉を無くす。 なぜなら、人が水死体よろしく、プカーっと浮かんでいたからだ。 海ではなく、湖だが、このような奴の事を、人は『どざえもん』と呼ぶ。 浮かんでいる人物はショートカットの茶色い髪をした女で、背丈から推測するに小柄だった。否、もしくは、まだ発達途中の子供かもしれない。 「しっかし、このまま放っておくわけにゃあ――いかねーんだよなァ……」 ジークの言う通り。 このまま放っておくのはよろしくない。この世界は男尊女卑である。しょうもない輩に発見され、そのまま売られ娼館へ――ひどい時には、クソみたいな貴族の奴隷にされてしまうかもしれない。  娼婦や奴隷には年齢など関係ない――いや、むしろこんな幼い少女だからこそ! と言う鬼畜な野郎に狙われてしまうかもしれない。 そんなの――両方とも、地獄である。そんな事は、あっちゃならないのだ。 「うし……」 なので、少女を助ける事にした。 ジークは上着を脱ぎ捨て、湖へと飛び込んだ。湖に入ったのは初めてだったが、水深は深く、小柄であるジークの足はつかない。無論、あの少女の足もつかないだろう。 (溺れる前に、早くしねえと) ジークは、スイスイと水をかき、少女へと近寄り、水へと浸けていた顔をあげさせた。その時、少女はカハッと何度かむせる。 どうやら、息はあるらしい。
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